ラス婚研究所

ストーリーラス恋入門イロドリ
敬老の日に考える、“親も恋する時代” 中高年の半数が「子どもにマッチングアプリ利用を話す」と回答──ラス婚研究所が見た令和の中高年像

敬老の日に考える、“親も恋する時代” 中高年の半数が「子どもにマッチングアプリ利用を話す」と回答──ラス婚研究所が見た令和の中高年像

ラス恋 運営事務局
執筆者ラス恋 運営事務局
2025年9月11日
カテゴリー:イロドリ

ラス婚研究所、所長(仮)の斉藤です!

敬老の日を目前にラス婚研究所が40〜80代を対象に実施した調査(※1)で、興味深い結果が出ました。

「マッチングアプリを利用していることを子どもに話していますか?」という問いに対し、半数を超える51.2%が「話している/話したい」と回答(※2)したのです。

一昔前までは「良い大人が”恋愛”をするなんて恥ずかしい」「子を思えば隠すもの」とされがちだった親世代・祖父母世代の恋。しかし令和のいま、親子で恋を語るのは自然なことになりつつあります。

「マッチングアプリについて子どもに話している」と回答した人に理由やエピソードを尋ねると、「一人でいるより若々しく輝いてて良い、と言われた」「娘に勧められて登録、いいねは一緒に相談している」「家族に隠し事はしない」といったオープンで明るい声が並びました。恋愛が親子の会話に入り込み、安心感や応援につながっているようです。

一方で「話したくない」理由の最多は「自分の人生だから」(46.8%)。親であっても祖父母であっても、役割の中に自身を押し込めず、自らの意思で人生を楽しむ存在としての中高年像が浮かび上がりました。

※1 ラス婚における消費に関する意識調査(2025年8月 株式会社ラス恋)
※2 「話せる・話している」が31.5%、「話したいが、話せずにいる」が19.7%

親子で「恋を話す」時代へ

アンケートに回答してくれたラス恋ユーザー1,671名のうち、子どもがいる1,020名を対象に聞いた「マッチングアプリの利用を子どもに話しているか?」。詳しく分析すると、次のような傾向が見えてきます。

男女差:母娘のオープンさ/父子の照れ

  • 女性は「話している」が43.6%で、男性の23.5%を大きく上回りました。
  • “話す派(話している+話したい)”で見ると、女性60.1%>男性45.3%

平成から「友達親子」などと言われてきたように、母娘の恋バナはすでに日常的なものになりつつあります。一方で男親は同居率が低いといった背景や、まだ照れが残っているようです。それでも父子間で約半数が「話す派」。時代は確実に令和へと移り変わっています。

年代差:50〜60代は過半数、70代以上は慎重

  • 40代:47.9%
  • 50代:52.3%
  • 60代:52.0%
  • 70代以上:40.5%

「話す派」の割合を年代別で見ると、50〜60代は過半数がオープン。70代以上は慎重ですが、これは「親の恋は隠すもの」と教えられてきた世代体験の違いでしょう。50〜60代はむしろ、「親も主体」の価値観に自然に移行しています。

一方40代は47.9%と、4.4ポイントほど下がります。「話したくない」派の個別回答を見てみると「子供に女性の部分を見せるのに抵抗がある」「まだ子供が小さいから」といった子の感情を慮るコメントが見られました。40代では思春期が真っ盛りの子を持つ世代でもあり、50代と比較すると離婚・死別からまだ月日が経っていないという背景もあるようです。

「話したくない」最大理由は“自分の人生だから”

「話したくない」と答えた人の最多理由は「自分自身の人生だから」(46.8%)。次いで「不安にさせたくない」(18.1%)、「気まずい・恥ずかしい」(16.9%)。

この結果から、“親であると同時にひとりの人”として恋を選びたいという、主体性の強さがにじみ出ています。

「ラス婚」の理想像は、同居にこだわらない関係が多数派

1,671人が回答した「理想のラス婚の形」について、最も多かったのは「別居パートナー(必要に応じて婚姻届も視野)」31.4%。次いで「婚姻届+同居」29.9%、「事実婚(婚姻届なしで同居)」15.7%、「ゆるやかな恋人関係(非同居)」15.4%、「週末婚」7.7%となりました。

つまり、“非同居系”を合算すると46.7%。「親子や介護との距離を大切にしつつ、自分の生活も守る恋」が、ラス恋世代の主流になりつつあるようです。精神的にも経済的にも、すでに自立した生活基盤を持っている方が多く、真剣交際ではあるものの必ずしもすぐの結婚や同居といった形にはこだわらない方が多いようです。子育て”孫”育て、親の介護など、お互いの事情へ配慮しながらゆっくりと関係を深めていきたいニーズが見て取れます。

男女差:距離の取り方に違い

  • 男女とも最多は「別居パートナー」
  • 女性は「週末婚」志向が男性の約1.8倍
  • 男性は「事実婚」志向がやや高め

私はここに、生活設計の優先順位の違いが表れていると考えます。

女性は家事や介護、地域コミュニティとのつながりなど「自分の生活基盤」を重視する傾向が強いため、週末だけ一緒に過ごすスタイルが心地よいのでしょう。一方で男性は、食事や日常サポートを共有することで安心感を得やすく、同居型(事実婚)に惹かれる傾向があるように見えます。

つまり「週末婚」と「事実婚」は対立するものではなく、お互いの生活リズムを尊重するアプローチの違いです。

ラス恋世代の恋は、結婚という一つのゴールを求めるものではなく、2人にとって最適な距離を一緒に探す作業なのではないでしょうか?

年代差:40代は同居志向、70代は非同居

  • 40代は「婚姻届+同居」37.9%で最多
  • 60代は「ゆるやかな恋人関係」19.6%まで上昇
  • 70代以上は「ゆるやかな恋人関係」40.0%で最多

40代は初婚の方も多いほか、「第二の結婚」として、これから家庭を築き直す意識が強く、同居婚に自然に気持ちが向かうようです。

一方で60代以降は、親の介護や自分の健康を見据えて、「自分のペースを守りながら寄り添う」発想が主流になるようです。子に孫が生まれるタイミングでもあり、それぞれの生活を思いやった関係が好まれます。

年齢を重ねるほど「生活の自律性」を恋愛の条件に組み込みやすいといえるのではないでしょうか。

プロポーズ観は、形式より“合意のプロセス”

プロポーズについては、「お互いに気持ちを伝え合う」47.2%が最多。

次いで「相手からされたい」22.0%、「自分からしたい」19.5%、「不要」11.3%。

形式よりも「ふたりで合意した」という実感が重視されています。

男女のはっきりした違い

  • 男性:「自分からしたい」28.8%
  • 女性:「相手からされたい」54.9%

婚姻という形式にこだわらないラス恋世代においても、女性からプロポーズを望む声は大きいようです。ただし男女共通して最も多いのは「お互いに伝え合う」。つまり「儀式としてのプロポーズ」よりも「合意の確認」を重視する点で一致しています。

ラス恋世代にとってプロポーズは、どちらかの申し込みや「記念のイベント」ではなく、お互い今後の人生をどのように築いていくのかが本題なのです。

プロポーズをしたい/されたいと回答した人からも、

  • 「自分の気持ちをきちんと言葉にして伝えたいから」38.5%
  • 「けじめや節目として、大切にしたいから」26.3%
  • 「相手の気持ちを言葉で聞きたいから」30.1%

「きちんと伝える」「相手の気持ちを聞く」といった理由が支持されています。

数字から見える“令和の中高年像”

今回の調査では、敬老の日を前に「親も恋していい」という空気感が可視化されました。

親子で恋を語り合う姿は、これからの社会にとってごく自然な風景になっていくでしょう。「親だから」「祖父母だから」と遠慮する必要はないのです。

「娘に勧められて登録。写真も一緒に選ぶ」「父さんならやりそう、と笑ってくれた」「なんでも話せる家族だから」。アンケートの自由回答欄に丁寧に記された、優しいエピソードたち。

親としての責任を全うしている世代の恋は、世の中からは「子どもファーストでない」とされ否定的に語られがちです。本調査によって、親世代の”恋バナ”や恋愛そのものが、むしろ家族の安心・信頼関係に寄与していることに気づかされました。

改めて調査結果の数字を並べると、以下です。

  • 親子で恋を話す→過半数
  • 非同居志向→46.7%
  • プロポーズは「お互いに伝え合う」→47.2%

「親であっても、お互いの生活を守りつつ、ふたりで合意して進む」。これが、いま中高年が選んでいる恋のかたちです。

敬老の日は「長寿を祝ってもらう日」であると同時に、「自分らしく人生を楽しむ日」でもあるはずです。ラス恋世代の恋は、第二の青春であり、人生後半を彩る「ポジティブな終活の一部」なのではないでしょうか。

ラス婚研究所はこれからも、そんな等身大の声を社会に届けていきます。

ラス婚研究所 所長(仮)/斉藤 マリナ

ビジネスメディアの編集者、複業支援プラットフォームの広報室長などを経て、広報・PR分野でキャリアを重ねる。現在は株式会社ラス恋にて「ラス恋」ブランドのPRと研究所の発信を統括。中高年世代の恋愛・婚活に関する調査・情報発信を担う。自身も家族の離婚や再婚を経験しており、「親世代の恋」を身近なテーマとして向き合っている。