30歳を過ぎてから本格的に婚活を始めた私は、理想の結婚相手に対して非常に厳しい条件を設定していました。当時の私は「妥協してまで結婚する必要はない」と考えており、自分の理想を一切下げることなく相手探しを続けていたのです。

しかし、この高すぎる理想が原因で、婚活は思うように進展しませんでした。マッチングアプリでは「いいね」をもらっても実際に会うまでに至らず、結婚相談所でもお見合いが成立しても2回目のデートに繋がらないという状況が続いていたのです。

年収700万円以上という理想と現実のギャップ

私が設定していた最も高いハードルは、相手の年収でした。「年収は最低でも700万円以上」という条件を譲ることができなかった理由は、将来の生活に対する不安からでした。子育てにかかる教育費や住宅ローン、老後の資金を考えると、これくらいの収入は必要だと思い込んでいたのです。

しかし、実際のデータを見ると、30代男性で年収700万円以上の人は全体の約15％しかいないことが分かりました。さらに、その中で結婚を希望している独身男性となると、さらに数は少なくなります。私が求めていた条件に当てはまる男性は、婚活市場において非常に限られた存在だったのです。

年収にこだわるあまり、マッチングアプリでも検索条件を「年収700万円以上」に設定していました。その結果、表示される相手の数は極端に少なく、たまに「いいね」をもらっても相手からの返事が来ないという状況が続きました。高収入の男性は婚活市場でも人気が高く、私のような条件の女性よりも、より若くて魅力的な女性を選ぶ傾向があったのです。

外見重視で失敗続きだった婚活体験

年収と同じくらい重視していたのが、相手の外見でした。身長は175cm以上、痩せ型から標準体型、顔は整っている人でないと交際対象として見ることができませんでした。写真を見た瞬間に「タイプではない」と判断し、プロフィールを詳しく読むこともなく次の相手を探していました。

結婚相談所でお見合いをした際も、初回のお茶の時間で相手の外見が理想と違うと感じると、会話に集中できずにいました。相手がどんなに優しく話しかけてくれても、どれだけ価値観が合っていても、外見の第一印象で「この人とは結婚できない」と決めつけてしまうことが多かったのです。

特に印象的だったのは、システムエンジニアの男性とのお見合いでした。年収は私の希望条件を満たしており、趣味や価値観も非常に合っていました。しかし、身長が170cmで私の理想より5cm低く、少しふっくらした体型だったため、2回目のデートをお断りしてしまいました。後から考えると、とても良い人だったのに外見だけで判断してしまったことを後悔しています。

年上男性を避けていた頃の婚活状況

当時32歳だった私は、相手の年齢にも厳格な条件を設けていました。「年上は2歳まで、できれば同い年か年下が良い」と考えており、35歳以上の男性からアプローチを受けても全て断っていました。「年上の男性は古い考え方を持っているのではないか」「価値観が合わないのではないか」という先入観があったのです。

マッチングアプリでも年齢の検索条件を「30歳～34歳」に設定し、それ以外の年齢の男性は最初から候補に入れませんでした。この条件設定により、表示される相手の数がさらに制限され、選択肢を自分で狭めている状況でした。

実際に、38歳の会社員男性から結婚相談所を通じてお見合いの申し込みをいただいたことがありました。プロフィールを見ると年収800万円、大手商社勤務、趣味は読書と映画鑑賞と私と共通点も多い方でした。しかし、年齢が6歳上というだけで即座にお断りしてしまいました。

年上男性を避けることで、実は結婚に真剣で経済的にも安定している優良な相手を多く逃していたことに、後になって気づくことになります。特に30代後半の男性は、結婚への意識が高く、真面目に婚活に取り組んでいる人が多いにも関わらず、私は年齢という理由だけで出会いの機会を自ら断っていたのです。

友人の結婚から学んだ大切なこと

私が婚活での高望みを見直すきっかけとなったのは、長年の親友である美穂の結婚でした。美穂は私と同じように婚活をしていましたが、彼女が選んだお相手は、正直に言うと私の理想とはかけ離れた人でした。

年収は400万円台で、私が当時求めていた700万円以上という条件には全く届きませんでした。身長も170センチに満たず、決してイケメンというわけでもありません。しかし、結婚式での美穂の表情は今まで見たことがないほど輝いていたのです。

美穂が教えてくれたのは、結婚相手に求めるべきは条件ではなく相性だということでした。彼女の旦那さんは、料理が得意で家事を積極的に手伝ってくれる人でした。仕事から帰ると一緒に夕飯を作り、休日には二人で買い物に出かける姿を見て、私は本当の幸せとは何かを考え直すようになりました。

美穂は私にこう言いました。「条件だけで選んでいたら、この人とは出会えなかった。でも今、毎日がこんなに楽しいの。年収が高くても、一緒にいて疲れる人だったら意味がないでしょう？」この言葉が、私の価値観を大きく変える転機となったのです。

結婚相談所のアドバイザーからの指摘

美穂の結婚を見て心境の変化を感じていた頃、結婚相談所のアドバイザーである田中さんから厳しい現実を突きつけられました。田中さんは20年以上この業界に携わるベテランの方で、多くの成婚カップルを見届けてきた経験豊富なアドバイザーでした。

「あなたの希望条件に合う男性は確かに存在します」と田中さんは資料を見せながら説明してくれました。「しかし、そういった男性はすでに結婚しているか、もしくはあなたよりもずっと若い女性を希望している場合がほとんどです。現実を見つめ直す時期に来ているのではないでしょうか」

田中さんが示してくれたデータは衝撃的でした。私の年齢である32歳の女性が、年収700万円以上の男性と結婚できる確率は、わずか3％程度だったのです。一方で、年収400万円から600万円の男性との結婚成功率は25％まで上がることも分かりました。

「条件を少し緩めるだけで、出会いの機会は格段に増えます。大切なのは、相手の人柄や価値観が自分と合うかどうかです」という田中さんのアドバイスは、まさに美穂から学んだことと同じでした。

田中さんはさらに具体的な事例を教えてくれました。「去年成婚されたAさんも、最初は年収800万円以上という条件でした。しかし、条件を500万円まで下げたところ、3か月後に素敵な方と出会い、半年で結婚が決まりました。今では『条件にこだわっていた時間がもったいなかった』とおっしゃっています」

この時の相談で、田中さんから「婚活市場価値の見直しシート」というものを渡されました。自分の年齢、職業、年収、外見などを客観的に評価し、それに見合った相手の条件を導き出すものでした。正直に記入してみると、自分の高望みぶりが数字となって表れ、現実を受け入れざるを得ませんでした。

田中さんの最後の言葉が印象的でした。「結婚は条件の取引ではありません。一緒に人生を歩んでいけるパートナーを見つけることが本当の目的です。条件を下げるのではなく、本当に大切なものを見つけ直すのだと考えてください」

婚活で長期間結果が出ない場合、設定している条件が現実とかけ離れている可能性があります。私自身も理想ばかりを追い求めていた時期がありましたが、条件を見直すことで劇的に婚活の状況が改善しました。

ここでは、実際に私が取り組んだ具体的な条件変更の方法をご紹介します。これらの変更により、より多くの男性との出会いが生まれ、最終的に結婚相手と巡り会うことができました。

年収条件を現実的な水準に変更

以前は年収700万円以上という条件を設定していましたが、これは日本の男性の平均年収を大きく上回る金額でした。国税庁の民間給与実態統計調査によると、男性の平均年収は約540万円となっています。

私が住んでいる地域の実情を調べた結果、年収400万円から500万円程度が現実的な水準であることがわかりました。この条件変更により、マッチングできる男性の数が約3倍に増加したのです。

ただし、年収を下げる際には将来の生活設計も考慮しました。共働きを前提とした家計計画を立てることで、世帯収入として十分な水準を確保できると判断したのです。

年収以外の経済的安定性を重視する視点

年収の数字だけでなく、職業の安定性や昇進の可能性、副業への取り組み姿勢など、総合的な経済力を見る視点に変えました。公務員や大手企業勤務でなくても、手に職を持っている男性や将来性のある業界で働いている男性にも注目するようになりました。

外見より内面を重視する意識転換

婚活を始めた頃は、身長180cm以上、スポーツマン体型、イケメンといった外見条件を重視していました。しかし、これらの条件に当てはまる男性は非常に少なく、競争率も高いことが問題でした。

意識を変えるきっかけとなったのは、結婚相談所のカウンセラーからの「結婚は恋愛とは違い、長期間の共同生活です」というアドバイスでした。

内面重視の具体的な判断基準

価値観の一致や人柄の良さを最優先に変更しました。具体的には以下のポイントを重視するようになりました。

• 家族を大切にする姿勢
• 誠実で嘘をつかない性格
• 金銭感覚の合理性
• 将来設計への真剣さ
• コミュニケーション能力の高さ

外見については、清潔感があり、最低限の身だしなみを整えている男性であれば十分と考えるように変わりました。実際に結婚した夫は、初対面では特別にハンサムという印象はありませんでしたが、話をするうちに人柄の良さに惹かれていきました。

第一印象に惑わされない会話術

外見重視から内面重視に変わったことで、初回のデートでは相手の話をじっくりと聞くように心がけました。趣味や仕事への取り組み方、家族との関係性など、その人の価値観が現れる話題を積極的に振るようになりました。

年齢幅を広げたマッチングアプリの活用

以前は同年代か年下の男性のみを検索対象にしていましたが、条件を見直した際に年上の男性も含めるように変更しました。具体的には、自分より10歳上までを対象範囲に設定したのです。

この変更により、人生経験豊富で精神的に安定した男性との出会いが増えました。年上の男性は結婚に対する意識も高く、真剣に交際を考えている方が多いことがわかりました。

マッチングアプリでの検索条件最適化

年齢幅を広げた後、マッチングアプリの検索条件も細かく調整しました。以下の表は、私が実際に設定した条件変更の内容です。

特に居住地の範囲を広げたことで、これまで出会えなかったタイプの男性との接点が生まれました。電車で1時間程度の距離であれば、交際や結婚後の生活にも支障がないと判断しました。

複数のマッチングアプリの併用戦略

条件を広げた後は、複数のマッチングアプリを同時に利用する戦略を取りました。アプリによって利用者層が異なるため、より多様な男性との出会いが期待できました。

真剣な結婚相手を探すアプリと、まずは気軽に会える相手を見つけるアプリを使い分けることで、段階的にお相手を絞り込んでいく方法を取りました。この方法により、月に10人以上の男性とお会いする機会を作ることができ、結果として理想的な相手と出会うことにつながりました。

理想を下げた後の新しい出会い

条件を見直してから3ヶ月後、私はマッチングアプリ「Pairs」で今の夫と出会いました。彼は私が以前設定していた年収条件を満たしていませんでしたが、プロフィールからは真面目で優しい人柄が伝わってきました。

最初のメッセージ交換では、彼の丁寧な文章と共通の趣味である読書の話で盛り上がりました。外見よりもメッセージでのやり取りを重視するようになったことで、これまで見過ごしていた素敵な男性に気づけるようになったのです。

初回のデートは近所のカフェでしたが、彼は時間通りに現れ、私の話を真剣に聞いてくれる姿勢に好感を持ちました。年収は400万円台でしたが、堅実に働く会社員として安定した生活を送っていることが分かりました。

価値観の合う相手との交際経験

交際が始まってから分かったのは、お金よりも価値観の一致がいかに大切かということでした。彼とは家族への考え方、将来の生活設計、お金の使い方について自然に話し合えました。

以前付き合っていた高年収の男性は、確かに経済力はありましたが、仕事最優先で家庭を軽視する傾向がありました。一方、今の夫は年収は高くありませんが、家庭を大切にし、二人で協力して生活を築いていこうという姿勢を持っていました。

交際中に印象的だったのは、彼が私の体調不良の時に仕事を早退してお粥を作りに来てくれたことです。これまでの私なら「年収の低い男性」として候補から外していたであろう彼が、実は最も思いやりのある素晴らしいパートナーだったのです。

また、彼は私の意見を尊重し、将来の住まいや子育てについても一緒に考えてくれました。高年収だけを重視していた頃の相手は、自分の意見を通そうとする人が多く、対等なパートナーシップを築くのが困難でした。

プロポーズから結婚までの経緯

交際から1年後、彼は私の誕生日にプロポーズしてくれました。場所は思い出の横浜赤レンガ倉庫で、派手な演出はありませんでしたが、心のこもった言葉で求婚してくれました。

「君となら、お金はそれほどなくても幸せな家庭を築けると思う。一緒に頑張っていこう」という彼の言葉に、私は迷わず「はい」と答えました。高年収の男性からのプロポーズよりも、心から嬉しく感じられたのは、お互いを深く理解し合えていたからです。

両親への報告では、最初は父が彼の年収を心配していました。しかし、実際に彼と話してみると、その人柄の良さと私への愛情の深さを理解してくれました。母も「年収よりも、娘を大切にしてくれる人が一番」と賛成してくれました。

結婚式は身内だけの小さな式でしたが、二人で計画を立て、予算内で温かい式を挙げることができました。高望みをしていた頃は豪華な結婚式を夢見ていましたが、大切な人たちに囲まれた心のこもった式の方がずっと幸せでした。

現在、結婚から2年が経ちましたが、夫婦で協力して家計を管理し、将来に向けて着実に貯蓄もできています。高年収の相手との結婚を夢見ていた頃よりも、実際の生活は充実しており、精神的にも安定した毎日を送れています。

自分の市場価値を客観的に把握する方法

婚活において自分の現実的な市場価値を理解することは、適切な相手選びの第一歩となります。多くの女性が自分を過大評価してしまい、結果として理想と現実のギャップに悩まされています。

客観的な自己評価を行うためには、第三者の意見を積極的に取り入れることが重要です。信頼できる友人や家族、結婚相談所のカウンセラーなどから、率直な意見を聞いてみましょう。自分では気づかない魅力や、改善すべき点が見えてくるはずです。

年齢別の婚活市場における現実

婚活アプリのデータを参考にすると、女性の年齢が上がるにつれて、男性からのアプローチ数は減少する傾向があります。しかし、これは決して悲観的になる必要はなく、質の高い出会いに集中できるチャンスでもあるのです。

譲れない条件と妥協できる条件の整理術

高望みをやめるといっても、すべての理想を捨てる必要はありません。大切なのは、本当に重要な条件と、実はそれほど重要ではない条件を明確に分けることです。

条件の優先順位付けワーク

以下の手順で、自分の求める条件を整理してみましょう。

1. 理想の相手の条件を思いつく限りすべて書き出す
2. その中から絶対に譲れない条件を5つ選ぶ
3. 残りの条件を「あったら嬉しい」レベルに分類する
4. 1か月後に再度見直しを行う

多くの女性が「絶対に譲れない」と考えている年収や外見よりも、価値観や性格の相性の方が結婚生活では重要であることが、結婚した夫婦へのアンケート調査でも明らかになっています。

相手の長所に注目する視点の変え方

高望みをやめるためには、相手の短所ばかりに目を向ける癖を改める必要があります。人間は本能的に相手の欠点を探してしまいがちですが、意識的に長所に注目する習慣を身につけることで、出会いの質が劇的に向上します。

ポジティブ思考を育てる具体的な方法

相手と会った後は、必ず3つの良い点を見つけて記録する習慣をつけてみましょう。最初は難しく感じるかもしれませんが、継続することで自然と相手の魅力を発見する能力が向上します。

例えば、「年収が理想より低い」と感じた相手でも、「仕事に真面目に取り組んでいる」「将来性がある」「お金以外の価値を大切にしている」といった長所があるはずです。

外見以外の魅力発見チェックリスト

• 話を聞く姿勢が良い
• 礼儀正しく丁寧な言葉遣い
• 家族を大切にしている
• 趣味や特技に情熱を持っている
• 困っている人を助ける優しさ
• 約束を守る信頼性
• ユーモアのセンスがある
• 向上心を持って努力している

婚活において重要なのは、完璧な相手を見つけることではなく、お互いに成長し合える関係を築ける相手を見つけることです。理想を追い求めすぎると、目の前にある本当の幸せを見逃してしまう可能性があります。

実際に高望みをやめて結婚した女性たちの多くが、「最初は理想の相手ではなかったけれど、付き合っているうちに相手の魅力がどんどん見えてきた」と証言しています。外見や年収といった表面的な条件だけでなく、相手の人柄や将来性にも目を向けることで、真の意味での理想のパートナーと出会える確率が高まるでしょう。

婚活での高望みをやめることは、結婚への近道となります。年収や外見といった表面的な条件にこだわりすぎると、本当に大切な相手との出会いを見逃してしまう可能性があります。自分の市場価値を客観的に把握し、譲れない条件と妥協できる条件を整理することで、より現実的な婚活が可能になるのです。相手の内面や価値観を重視する視点に変えることで、長続きする幸せな結婚生活を築ける相手と出会えるでしょう。